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常に目標を持ち、一歩ずつ前へ
聞き手 西澤さんにお話をうかがってますと、「誰かに負けたくない」というように、相手と比べてどうこうというよりも、むしろ自分の中で目標を定めて努力するという感じを受けます。西澤さんの話は人生のいろいろなことに応用できますね。
西澤 自分は、言葉で説明するのが苦手なんですよ。だから、ボクシングでメッセージを表現できればと思ってます。この間の試合もそうだけど、自分の応援に来てくれる客層は中年層、自分と同じか上の年代の人方が多いんですよ。そういう方達って、リストラとかいろんな悩みに突き当たってる方が多いですよね。自分がボクシングを始めた頃は「三十過ぎたらボクサーは終わり」って言われたんです。でも自分はそうは思わなかった。実際に三十歳に近づいて、今この年齢になってもモチベーションも体力も落ちてない。ですから、一歩踏み出す勇気みたいなものを、同年代の人達に自分の試合を通じてつたえられればいいなと思います。「こんなハードなスポーツでもやればできるんだな。俺も頑張らなきゃ」ということを試合後によく言われるんですよ。そう言われた時は嬉しいですね。
講演にて
それと、頼まれるのでたまに講演をしてるんですが、子供達の前では「中途半端に妥協せず、目標に向かって頑張ってほしい」「継続すれば力になる。諦めないで、階段を一歩一歩上がるように努力してほしい」ということを言ってます。
小中高とやってますけど、小学校の場合、枠が一時間あったら三十分くらいで話を切り上げて、質問コーナーなんかを挟んで、最後に体験指導をやる。希望者をステージに上げてみんなのパンチを受けてあげるんです。一人ひとり受けて、必ず良いところを見つけて誉めてやる。「スピードがある」とか「バランスがいい」とか、一つ誉めると自身を持って、いろんなことでも頑張ろうって夢を持てるんです。
聞き手 プロに誉められるという、希望をもてるような体験はなかなかないですからね。
西澤 自分は育ちが田舎ですから、テレビの中のスポーツマンとか芸能人はみんな遠い世界の人というところがあって・・・
でも逆に、自分はこうなってやろうと思った。田舎にいる時は雲の上の存在なんだけど、それを俺がつかんでやろうとね。人間にはいろんな強さがあると思いますが、やはり一番大事なのは精神の強さ。天才とか一流と言われてても、精神的な部分で挫折していく人を何人も見てますから。自分が次の試合で勝ったとしても、それはボクサーとして強いということではなく人間として強いということです。体だけじゃなく心技体すべてにおいて、人間として一流を目指したい。
聞き手 人間としての強さを表現する方法が、西澤さんにとっては今はボクシングということになりますね。これから、ボクサーとしての西澤さんを見るのも楽しみですが、その後の西澤さんの生き方を見ていくのも楽しみですね。
西澤 自分自身も楽しみなんですよ。いろんな壁があるはずですけど、それをどう乗り越えていくか。厳しいんでしょうけど、それを楽しみに変えていきたいですね。僕は生きていく上で常に目標は持ち続けてますから、チャンピオンになって終わりではないです。現役でいられる時間は限られると思うんですけど、引退後の自分のプランも描いてますよ。どういう状況になっても大丈夫なように、一つに決めるのではなく幅広く持ってます。だから今、日々の生活も充実してますね。
聞き手 今後は当然また世界チャンピオンに向かっていくと思いますが、次の予定はどうなっているのでしょうか?
西澤 今、チャンピオンに挑戦状を出してます。ただ、チャンピオンのほうもクリアしていない試合があるみたいで、年末くらいには再び世界に挑戦しようという段階です。
世界戦の前にもう一戦、東洋太平洋の防衛戦を挟むのかノンタイトルでやるのかわかりませんが、いつできてもいいようにいろんなシチュエーションを想定して、今できることにベストを尽くしてます。
聞き手 西澤さんなら、きっと素晴らしい試合を我々に見せてくれると思います。今日は本当に勇気が湧いてくるお話が聞けました。ありがとうございました。

■取材・吉川哲彦  *雑誌「天風」に掲載されたものより抜粋(平成16年6月インタビュー)

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